Googleマップ“悪質”コメントに頭抱える 医師らが嘆き「勝手に休業にされ…」「載せておいてトラブルが起きても無視」

https://news.livedoor.com/article/detail/26236637/

 Google(グーグル)マップ上の“悪質口コミ”をめぐって、Googleを集団提訴する動きがある。

ABEMA的ニュースショーの取材に対し「書かれる側にとっては人生が変わってしまう」と語るのは、東京都内でクリニックを経営する木村医師(仮名)。Google口コミ被害者の会の代表を務める木村医師は身に覚えのない悪質なクチコミを書かれ、対応に悩まされてきた。

 木村氏のみならず、最近Googleマップ上には、真偽不明の誹謗中傷とも取れる書き込みが投稿され、多くの開業医たちの病院経営に支障を生んでいる。最悪の場合、閉鎖に追い込まれる医院もあるという。コメントは以下のような内容だ。

「切らなくてよいところまで切られて、試験的な縫合をされた」
「理学療法士のCはD病院で汚職をしていた」
「F病院は、行かないで! 馬鹿、馬鹿、馬鹿、馬鹿、馬鹿、馬鹿野郎!」
(Googleマップのコメントより)

 このようなクチコミ被害に苦しむ医師たち約90人が対応を検討したが、ネックとなったのは“患者情報の守秘義務”。泣き寝入りするしかない医師が大半で、Googleに削除要請しても、「裁判所の命令が必要だ」などの理由で対応してくれなかったと語る。街道沿いの看板で知られる歯科医も、同じ悩みを抱えていた。

「はっきり言って、やりたい放題。『インプラントを何回も失敗した。院長が怒鳴り散らかす“チンピラ”だから行くんじゃねぇ』など、明らかにうそだとわかった。患者でもなければ、何ら関係ない人物による悪質な嫌がらせが横行した」(八王子きぬた歯科・羅田泰和院長)

 悪質投稿は営業妨害だと、弁護士を通じてGoogleに情報開示を請求すると、書き込んだ多くが同業者だった。また院長には、架空の業者を装って、有償で“悪いコメントの削除”や“いいコメントの投稿”を持ちかけるメッセージも届くといい、「口コミはまったく当てにならない」と語る。

 医療・科学ジャーナリストの石田雅彦氏は、開業医の競争が激化していると指摘する。「医者も個人経営のサービス業。ホスピタリティ産業の側面があり、評価するポイントがわかりにくくなり、患者側もどう書き込みを読み解くのかのリテラシーが問われている」。

では、なぜ悪質な書き込みを削除しないのか。Googleは問い合わせに対して、「人間のオペレーターと機械を組み合わせて、24時間体制で企業プロフィールを保護し、不正なレビューを削除している」と回答した。

 弁護士の諸橋仁智氏は、口コミを書く側の“表現の自由”にも着目する必要があると語る。

「真の評価を記載している場合もあり、Googleとしては慎重に判断しなければならない。『利用しようとしている人に情報を与えようとしているか』といった点で判断すると、『門前払いにされた』などは公益目的に見える。一方で『いかれポンチ』などは、明らかに誹謗中傷のたぐい。『この部分が公益目的ではない』などと、しっかり内容を記載することで、削除してくれる可能性がある」(弁護士・諸橋仁智氏)

 冒頭の被害の会代表の木村医師(仮名)は、これは医師だけの問題ではないと明かす。「飲食店や美容院、その客も、誰しも被害にあう可能性がある。匿名で『性被害を受けた』などは取り返しのつかないダメージを受ける。医療機関が大きく被害を受けている事情もあり、今回は医療機関から訴訟する」。

代表がGoogleマップに違和感を持ったきっかけは、自身のクリニックが“隣のビル”にあると記載されていたことだ。「間違った記載だから直して、と伝えても、Googleは『自分が正しくて、あなたが間違っているから修正しない』と言われ、1年間ずっと隣のビルにいることになっていた。“休業”にされたり、営業時間を変えられたりする場合もある。勝手に載せておいて、『トラブルが起きたら自分でなんとかして』は、おかしいのでは」。

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